歯列矯正はスペースを確保しなければ始まらない

歯列矯正の治療では、まず歯を移動させるためのスペースを確保しなければなりません。日本人は先天的な骨格として顎の骨が小さいのに対して、歯そのものは大きく、特に前歯が大きいのが特徴だと言われています。必然的に込み合った歯並びになる可能性が高く、基本的に(すきっ歯の場合を除き)スペースが無いために歯がきれいに並ばないというのが圧倒的な原因です。

症状の度合いにもよりますが、重度の症例の場合はそのスペースを生み出すために「抜歯」をするケースが少なくありません。ひょっとしたらお近くの矯正歯科に相談したところ、「これは抜歯が必要ですね」と言われて、治療を迷った方も多いんじゃないでしょうか?

抜歯は、1本では済まない

歯列矯正における「抜歯」対応の場合、一般的には、最も影響が少ない小臼歯(前から4番目の歯)を抜くことになります。
片側1本だけでは左右のバランスが悪くなるのでもう片方も抜歯します。さらに上下のバランスも同様なため、結局は、上下の小臼歯(4本)すべてを抜くことに……。たとえその歯が健康であったとしても、です。

抜歯症例についてはワイヤー矯正の対応領域

基本的に抜歯症例はワイヤー矯による対応領域となります。必ずしもマウスピース矯正では対応できないとは言い切れませんが、特性上、抜歯によって生まれた大きなスペースに対して歯を動かすのは不向きです。

マウスピース矯正は、装着時は常に歯全体が装置に覆われているおり、歯茎方向に抑え込む力もかかっています。そのため大きなスペースを動かす場合、装置に覆われている(見えている)部分は動いても、歯の根っこがあまり動かず歯が傾斜してしまい、結果的に「噛めなくなってしまう」リスクがあります。そのため抜歯症例の多くの場合は、ワイヤー矯正と組み合わせた「2段階で対応」をすることになるでしょう。

マウスピース矯正は、適用症例(歯並びのタイプ)についてはワイヤー矯正と同じような対応範囲を持つものの、その症状については「軽度の症例」への対応に限られてしまう理由の一つです。まずは自分の歯並びの状態について、歯科医に相談をしてみることをお勧めします。

ビセットラインは極力「抜歯を避けて」IPR対応

これまでの話の通り、一般的に歯列矯正において「抜歯」選択する歯科医も少なくありません。スペースが無いと歯が動かないからです。しかし、抜く理由のない健康な歯を極力残したいのは当然のことです。
そのため、

ビセットラインでは抜歯を極力避けるべく、「IPR(歯の両側のエナメル質をわずかに削って歯が移動するスペースを生み出します)」で治療計画を策定します。
歯を覆うエナメル質は約1mm。そのためビセットラインでは片側0.4mmを限度にIPR対応を行っています。

重度の症例には、どうしても「抜歯が必要」と判定せざるを得ないケースはあります。ただ、まずは極力、非抜歯での治療計画をご提案し、矯正治療の想定結果を確認しながら、患者様との協議を行っていきます。

歯列矯正をご検討の際には、「抜歯/非抜歯」「矯正方法による向き不向き」などを、歯科医に十分に質問・確認をしてご検討くださいね。
ビセットラインでは、治療前のシミュレーションで、患者様に合わせた治療計画、また治療完了後の予測を動画でご案内いたします。シミュレーション=治療開始ではありませんので、結果を歯科医と十分にご確認の上、治療開始についてご検討ください。